Oracle のBYOL： クラウドにおけるルールとリスク

Oracle社は、そのライセンスの複雑さ、監査、高額なライセンス費用、関連する年間サポート料で知られています。ライセンスコンプライアンスを維持することは、大きな財務リスクを回避するために非常に重要です。

ほとんどの組織は、Oracle社のプログラムの一部をすでにクラウドに移行しているか、移行を計画しています。異なるクラウド（BYOL）への頒布をカバーするために既存のライセンスを使用することは、ライセンスのコンプライアンスをさらに難しくしています。

既存のOracle ライセンス（オンプレミスの頒布のために過去に購入したライセンス）は、異なるクラウド環境への頒布が認められています。ただし、クラウドプロバイダーや契約条件によって適用されるルールは異なります。

いくつかの異なるシナリオを見てみましょう：

Oracle Cloud Infrastructure とOracle Compute Cloud @ Customer

Oracle Cloud Infrastructure（OCI）とOracle Compute Cloud @ Customerは、Oracle社がすべてのエンドユーザーに提供可能なソリューションです。顧客がこれらのソリューションに必要なライセンス数を決定するためのルールは、Oracle社のProcessor Core Factor Table（プロセッサ コア ファクター表（oracle.com））の下部に記載されています。

これらのルールでは、既存のProcessorライセンスまたはNamed User Plusライセンスを、Oracle社のクラウド使用量の指標であるOracle Compute Units（OCPU）に変換する方法を示しています。

x86サーバーの場合、以下の比率が適用されます：

• Processorライセンスは、2 OCPUでの製品使用をカバーします。

Named User Plus ライセンス（NUP）の使用は、a) 実際の（直接および/または間接的な）ユーザー数、および  b) Oracle プログラムに適用される、プロセッサーあたり（2 OCPUあたり）のNamed User Plus ライセンスの最小数のうち、どちらか多い数のライセンスが必要です。

例えば、Processor ごとに 32 NUP ライセンスが最小ライセンスのプログラムでは、x86 の OCPU 2 個に対して最低 32 NUP ライセンスが必要です。

Ampereプラットフォーム（Altra/AltramaxおよびAmpereOne）とOracle Ravelloにも、比率や最小値が異なる同様のルールが適用されます。

Oracleプログラムのライセンスには、Standard Edition One、Standard Edition、またはStandard Edition 2の名前が含まれている場合、特定のルールが適用されます（いくつかの例外を除く）。オンプレミス環境では、これらのプログラムは各占有ソケットをカウントし、プロセッサライセンスでライセンスを取得する必要があります。Oracle Cloudでは、1つのプロセッサライセンスは4つのOCPUの消費に相当します。Oracle Database Standard Edition 2をNamed User Plusライセンスで使用する場合、最大8つのOCPUを持つ各インスタンスに対して最低10のNamed User Plusライセンスを遵守する必要があります。

承認されたクラウド環境

Oracle社は3つのパブリッククラウドプロバイダーと契約しています。プロバイダーのリストと適用される特定のルールは、これには以下が含まれます： 「Licensing Oracle Software in the Cloud Computing Environment」という公開文書に記載されています。

• Amazon (EC2およびRDS)
• Microsoft Azure
• Google Cloud Platform (2024年6月11日から)

Oracle社は、Oracle独自のクラウドインフラストラクチャやOracleのエンジニアド・システムのライセンスプログラムを除いて、これらの4つの「承認されたクラウド環境」のいずれかを使用する場合にのみ、物理的なCPUではなく仮想CPUに対してライセンスすることを許可しています。

これらの承認されたクラウド環境において、Oracle社はエンドユーザーに対してインスタンスの最大vCPUを以下の比率でライセンスを取得することを要求しています：

• マルチスレッドが有効な場合、1つのプロセッサライセンスは2つのvCPUをカバーします。
• マルチスレッドが無効な場合、1つのプロセッサライセンスは1つのvCPUをカバーします。

すべての場合において、Oracle社のProcessor Core Factorは適用されないことにご注意ください（オンプレミスの頒布にのみ適用されるため）。

製品名にStandard Edition One、Standard Edition 2、またはStandard Editionが含まれるOracle プログラムでは、最大4つのvCPUを持つインスタンスは1つのソケットとみなされ、1つのProcessorライセンスが必要です。7つまたは8つのvCPUを持つクラウドインスタンスには、2つのProcessorライセンスが必要です。

Oracle Database Standard Edition は最大 16vCPU (4 Processor ライセンス) のインスタンスにのみ、Oracle Database Standard Edition 2 は最大 8vCPU (2 Processor ライセンス) のインスタンスにのみ頒布できます。さらに、Named User Plus ライセンスの最小数も適用されます (例: 8vCPU のインスタンスでは、Oracle Database Standard Edition 2 の Named User Plus ライセンスは最小 10 ライセンス)。

 

重要な考慮事項：

エンドユーザーとしては、いくつかの点に留意する必要があります：

• Oracle無制限ライセンス契約（ULA）を限定期間で締結する場合、承認されたクラウド環境にOracleプログラムを頒布することができますが、契約終了時にそのような頒布を認証することは標準の契約条件では許可されません。エンドユーザーとして、そのようなクラウドの頒布を認証できるようにするためには、契約書の中で標準以外の文言を交渉する必要があります。
• Oracle Perpetual Unlimited License Agreement (PULA)）を無期限で締結する場合、承認されたクラウド環境にOracleプログラムを頒布することができます。ただし、組織が進化する場合（例：事業売却、合併および/または買収の結果など）、標準の契約条件では契約に記載されている法人のみがソフトウェアを使用することが許可されるため、特に注意が必要です。
• 「Constrained vCPUs」（Azure）および／または「Optimised vCPUs」（AWS）インスタンスを利用する場合、Oracleではインスタンスの最大vCPU数（サイズ）をカウントする必要があり、これまでに使用された最大vCPU数ではないことに留意すべきである（一部のクラウドプロバイダーが述べているにもかかわらず）。
• AWS for VMwareおよび/またはAzure VMwareソリューションを使用する場合、これらの環境は承認されたクラウド環境ではないため、vCPUの数をカウントしてOracleライセンスの数を決定することは許可されていません。Oracle社はエンドユーザーに対して、特定の非標準の取引条件が合意されない限り（ほとんどのエンドユーザーにとってはありえません）、完全なインフラストラクチャをライセンス取得すること（無制限ライセンス契約を締結すること）を要求しています。
• AWSやAzureが提供する専用ホスト（ベアメタル）を使用する場合、Oracle社は基盤となる物理サーバーの最大vCPU数のライセンスを要求します。（サーバーで使用されたvCPUの実際の最大数ではありません）。言い換えれば、サーバーのコアがハイパースレッド化されている場合、ベアメタルホストは完全にライセンスを取得する必要があります。

その他のクラウド環境はあるのか？

Oracle社は、上記以外のクラウドプロバイダーと特定の契約は結んでいません。

Oracle社は、他のほとんどのプロバイダーが依存しているVMwareなどの仮想化を、必要なライセンス数を減らす方法として認めていません。そのため、クラウドプロバイダーが仮想化技術としてVMwareを使用している場合、Oracle社はクラウドプロバイダーのすべてのESXホストのすべてのコアのライセンスを取得する必要があります。Oracleソフトウェアがインストールされた仮想マシンは、（ストレージとネットワークの分離が実装されていない限り）あるvCenterから別のvCenterに移行することができるからです。このようなシナリオでは、エンドユーザーは（高価な）無制限ライセンス契約を通じてのみ、このような環境のライセンスを取得し、コストを許容範囲内に抑えることができます。

クラウドプロバイダーの中には、「プライベートクラウド」や「ベアメタルクラウド」といった用語を使用しているところもあります。Oracle社は、エンドユーザーが気づかないうちに仮想化レイヤーが実装されている可能性があるため、これらの用語は信頼できないと考える傾向にあります。そのため、これらの環境は、パブリッククラウドベンダーが承認していない他の環境と同様に扱われます。

実際のライセンスへの影響を完全かつ正確に把握しないままクラウド環境に導入すると、一般的に（予期せぬ）財務リスクが生じます。準備を整え、クラウドへの移行前、移行中、移行後にSoftwareOneのOracleアドバイザリサービスのエキスパートを活用し、コストを削減しましょう！