3 詳しく見る

Javaの発展とライセンス管理の課題

takashimada-masaya-contact
高島田 正哉Oracle Services シニアコンサルタント
Publisher advisory

Javaの歴史

Javaはエンタープライズアプリケーションからモバイルアプリ、ウェブアプリケーション、IoTデバイスなど、さまざまな分野で利用されており、その数は全世界で数百万本とも言われています。また、それらを開発するプロフェッショナルなJava開発者は、2020年時点で約520万人と推定されており、JavaはIT社会に深く根付いています。

元々JavaはSun Microsystems社によって1991年に「Oak」という名で開発プロジェクトが進められ、誰もが自由に使える開発言語として成長しました。Sun Microsystems社はその後、2009年にOracle社に買収され、引き続きOpen JDKとして開発が進められていますが、その知的財産権はOracle社が所有しています。

JavaにはOpen JDKとOracle JDKがある

Oracle社がリリースしているJavaには2種類あります。Open JDKとOracle JDKです。

  • Open JDK: 誰もが自由に使用できるJavaの開発キットであり、同じソースコードをもとにAdoptium、Amazon Corretto、Azul Zulu、Red Hat Open JDKなど複数のソフトウェアベンダーからもリリースされています。
  • Oracle JDK: 同じソースコードがベースになっていますが、Oracle社独自の機能が付加されており、Oracle社の正式な製品としてリリースされています。

ご自身が使用しているPCのコマンドプロンプトでJava -versionと入力してみてください。「Java(TM) SE Runtime Environment (build 1.8.0_202-b08)」などの表示がされれば、あなたのPCにJavaがインストールされています。それはOpen JDKですか?それともOracle JDKですか?どちらがインストールされているかによって注意しなければならないことがあります。

Oracle JDKは必ずしも無償ではない

Oracle JDKがOpen Sourceをベースにしているからと言って、必ずしも無償で使えるというわけではありません。前述の通りOracle JDKはOracle社の正式な製品です。Oracle社の主要製品であるデータベースのように商用利用する場合は原則有償です。

「原則」と表記したのはリリースされたバージョンやアップデートによって使用許諾条件が異なるためです。これはJavaの使用許諾条件が、Sun Microsystems社がOracle社に買収されたことによって、数年間の過渡期を経てOracle社標準のリリース形態に変更されてきたためで、これがJavaを理解する上で話を非常に複雑にしています。

あなたが使用しているJavaはどのような使用許諾がされているか理解していますか?その使用方法は本当に無償ですか?

Java使用状況の調査とライセンス管理の必要性

Oracle社ではデータベースなどの既存の製品と同様、Oracle Javaについても監査権を有しています。ユーザーがOracle Javaを入手する際に使用権許諾に同意していますが、その中に監査権についての記載があります。つまりOracle社はいつでもあなたが入手したOracle Javaを正しく使用しているか確認する権利があるわけです。

もちろん表立ってその権利を振りかざして調査するわけではありません。営業レベルでユーザーに対して調査協力の依頼をしてきます。調査協力ですので断っても良いでしょう。ですがJavaには常に脆弱性の問題が存在しており、「最新のアップデートが適用されているか調査・確認をした方が良い」と言われれば、調査に対する否定的な気持ちは収まるでしょう。そしてあなたはOracle社からのガイドに従って社内にあるサーバーやPCでのJavaの使用状況を調査し、その結果をOracle社へ開示することでしょう。

Oracle社はその開示情報からあなたが正しく使用許諾条件に従って使用しているかを確認します。そして当然、有償ライセンスが必要な使い方をしていることが分かれば、Oracle社はあなたに対して有償ライセンスの購入およびこれまで誤った使い方をしていた過去の期間分に対する遡及請求もしてくることになります。

このように情報開示によっては想定外の費用が発生する場合があるため、日ごろから正しくJavaを使用しているかを確認し、誤っていれば直ちに自ら是正するといったソフトウェアの資産管理(SAM)が重要になってきます。

Oracle Javaのライセンス変更による是正コストの増加

使用許諾条件に従って正しく使用していなければ、それを直ちに是正しなければなりません。是正は「正しく使用していない」ものを「正しく使用する」状態にするわけですから、その対象となるサーバーやPCに対して是正を行います。例えば1万台のPCを所有する企業で調査したところ、10台だけ正しく使用していないことが判明した場合、その10台に対して是正を行います。

ところが2023年1月、Oracle社はライセンスの価格単位(メトリック)を変更しました。それまでサーバーの場合はProcessor、PCの場合はNamed User Plus(NUP)という単位で許諾していたため、上記の10台であれば10NUP分のライセンスを購入することで済みましたが、価格単位がEmployeeに変更され、これによって全従業員の数によって一人当たりの単価が設定され、1台でも是正が必要なPCが存在していた場合、全従業員数分のライセンス(Subscription)を購入しなければならなくなりました。これは従業員の数にもよりますが、旧価格単位であれば数十万円で済んだものが数億円に跳ね上がるといったことも起きています。

これからわかる通り、使用許諾条件に合致しない使い方をしているマシンが1台でもあれば、膨大な金額の是正を要求されることになります。

Javaライセンスの複雑さと資産管理の重要性

前述の通り、Oracle社によるSun Microsystems社の買収により、Javaのライセンスは大きく変更され、その過渡期にリリースされたバージョンやアップデートのライセンスは非常に複雑怪奇になっています。そのためそれらのバージョンやアップデートを使用しているJavaについては厳密に調査する必要がありますが、その複雑さ故に専門家の協力が必要になります。またその過渡期以降にリリースされたバージョンやアップデートについても正しく管理しなければ、容易にコンプライアンスの問題が発生するため、専門家の協力を得ながら現状の分析と対策および資産管理の仕組みの構築を進めていくことを強くお勧めします。

まずは当社へご相談ください

当社では、Oracle社がGlobalに公開している約11,000にも及ぶWebサイトを常時トラッキングし、最新の更新情報を押さえています。これは他社には無い仕組みです。またそれらの膨大な知識ベースと共に、ライセンスの深い知識と経験をもったコンサルタントが多数在籍しています。

是非とも利用状況を開示する前に、「本当に開示すべきか?問題は無いのか?」、まずは当社にご相談ください。想定していないコンプライアンスの問題を未然に防ぎ、膨大な財務上のリスクを回避するためのサポートを致します。

An image of a blue and red light coming out of a box.

Oralceアドバイザリサービス

SoftwareOne Oracleアドバイザリサービスは、コスト削減の機会に関する分析サービスを提供し、Oracle契約の財務、運用、または法的リスクに関する理解を深める支援をいたします。

Oralceアドバイザリサービス

SoftwareOne Oracleアドバイザリサービスは、コスト削減の機会に関する分析サービスを提供し、Oracle契約の財務、運用、または法的リスクに関する理解を深める支援をいたします。

Author

takashimada-masaya-contact

高島田 正哉
Oracle Services シニアコンサルタント