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Oracle Java のライセンスモデル変更によりコストが 30 倍になる可能性も

SoftwareOne blog editorial team
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もし貴社がOracle Javaのユーザーであれば、注意が必要です。Oracle社は2023年1月24日、サブスクリプションモデルとグローバル価格表の大幅な変更を突然発表しました。この変更は、ほぼすべてのJava ユーザーに大きな財務的影響を与え、現行の価格モデルの30倍になってしまう可能性があります。

何が変わったのか?

2023年1月24日、Oracle社は新しい『Oracle Java SEユニバーサル・サブスクリプション グローバル価格表』を発表し、今後はNamed User Plusライセンスモデル(クライアントまたはラップトップ/デスクトップ用)またはプロセッサ ライセンスモデル(仮想、物理、クラウドインスタンスを含むサーバーへのライセンス頒布用)メトリックでのOracle Java SEサブスクリプションは販売しないと明言しました。今後、Oracle社はOracle Java SEサブスクリプションは引き続き販売するものの、Employee for Java SE ユニバーサル・サブスクリプションメトリックへ変更することを発表しています。

この変更は何を意味するのか?

旧モデル:

  • ライセンスの頒布が多いほど、より多くのサブスクリプションが必要になった。
  • ライセンスの頒布があるサーバーの規模が大きいほど、より多くのサブスクリプションが必要になった。

これまで多くのエンドユーザーは、コストを削減するために、有償ライセンスが必要なバージョンのOracle Javaをアンインストールしたり、パブリックに公開されているものや有償ライセンスが不要なバージョンにダウングレードしたり、時にはOracle Javaの展開をより少数のコンピュータへ統合したり、VMware上の展開においてストレージとネットワークの分離を実施するなどしました。

Employee for Java SEユニバーサル・サブスクリプションという新しいモデルでは、必要なライセンス数は、実際にプログラムを使用する従業員の数ではなく、組織の総従業員数によって決定されます。対象となる従業員は、Oracle社によって次のように定義されています。

  • 正社員数、パートタイム社員、派遣社員のすべて および
  • 社内業務をサポートする代理店、請負業者、委託業者、コンサルタントの正社員、パートタイム社員、派遣社員のすべて

これらのJava SE ユニバーサル・サブスクリプションの場合、購入されるライセンス数量は、最低でもお客様の注文の発効日における従業員の数と等しくなければならないことを意味します。Java SE Universal Subscriptionモデルに関するこの「従業員数」の基準では、お客様は Java SE ユニバーサル・ライセンスを最大 50,000 プロセッサまでインストールおよび/または実行できます。お客様の使用が 50,000 プロセッサを超える場合は(デスクトップおよびラップトップにインストールおよび/または実行されるプロセッサを除く)、お客様はOracle社から追加のライセンスを取得する必要があります。

Oracle Java SEユニバーサル・サブスクリプション グローバル価格表(英語)

Oracle Java SEユニバーサル・サブスクリプションFAQ(英語)

新しいモデル:

  • Javaを使う人数やJavaを動かすサーバーのプロセッサ数は関係ありません。ライセンスを使用する人が一人でもいれば、すべての従業員に対してサブスクリプションが必要になります。
  • 基礎となるハードウェア インフラストラクチャとそれに関連するプロセッサの数は、もはや関係ありません。ライセンスの使用が1つ以上ある場合、すべての従業員に対してサブスクリプションが必要になってしまいます。
  • お客様の業務をサポートしている委託業者、代理店、請負業者、コンサルタントもカウント対象です。
  • インフラストラクチャの合計が50,000プロセッサを超える場合(たとえば、100,000 Intel Xeonコアを超える場合)、Oracle社と誠実な交渉を行い、適切な価格設定に合意する必要があります。

新しい価格表とライセンスモデルはどのように機能するのか?

下の表は、対象の従業員数に応じて、従業員1人あたりの月額利用料金の正味額を示しています。対象となる従業員サブスクリプション数が多いほど、従業員1人あたりの月額利用料が安くなります。

月額利用料金(正味額) サブスクリプション メトリック 従業員数
USD 15.00 Employee of Java SE ユニバーサル・サブスクリプション 1-999
USD 12.00 Employee of Java SE ユニバーサル・サブスクリプション 1,000-2,999
USD 10.50 Employee of Java SE ユニバーサル・サブスクリプション 3,000 – 9,999
USD 8.25 Employee of Java SE ユニバーサル・サブスクリプション 10,000 – 19,999
USD 6.75 Employee of Java SE ユニバーサル・サブスクリプション 20,000 – 29,999
USD 5.70 Employee of Java SE ユニバーサル・サブスクリプション 30,000 – 39,999
USD 5.25 Employee of Java SE ユニバーサル・サブスクリプション 40,000 – 49,999
詳細はOracle契約をご覧ください Employee of Java SE ユニバーサル・サブスクリプション 50,000 +

この変更にともなう財務上の影響

実際の事例を見てみましょう。あるエンドユーザーが214台のプロセッサと1105のクライアントを持ち、それらに対しOracle Javaのライセンスを頒布したいと考えている場合です。従来のライセンスと価格のモデルでは、このクライアントの年間サブスクリプション料金は 85,000 USドルになります。しかし、このエンドユーザーの組織には4万2,000人の従業員がいます。新しいライセンスと価格モデルでは、クライアントの年間サブスクリプション料金は、42,000×5,25×12(月)=2,646,000USドルになります。これは、旧モデルで適用されていた料金の30倍以上の値上げです。

既存のNamed User Plusやプロセッサベースのサブスクリプションに影響はありますか?

すでに旧来の Named User Plus および/またはプロセッサライセンスと価格モデルに基づく Java SE サブスクリプション契約を締結しているエンドユーザーは、現時点では何もする必要はありません。Oracle社は、契約上合意された条件を尊重します。

ただし、エンドユーザーは、サブスクリプション契約が終了した時点で、Oracle 社から新しく 従業員ベースのライセンスおよび価格モデルへの移行を要求される可能性があることに留意する必要があります。Oracle 社は FAQ で、既存の Java SE サブスクリプションの顧客は既存の条件とメトリックのもとで更新することができると明記していますが、この文書は単にFAQであり、一切、契約上の拘束力を持つものではありません。これまでインフラストラクチャの一部のライセンスを取得し、無制限のサブスクリプション契約を締結しておらず、初期のサブスクリプションの拡張または更新に関する標準外の条件に合意していないエンドユーザーは、ほとんどの場合、従業員ベースの新しいモデルへの移行を要求されるでしょう。

どのような代替案があるのでしょうか?

従業員ベースのライセンスモデルは価格が高くなります。代替案を検討する前に、利用可能なさまざまなOracle Javaリリースに対するOracle社の「移行するか、お金を払って継続するか」というアプローチを理解することが大切です。

すべてのOracle Javaリリースの更新版は、次のいずれかに分類されます。

  • 公開アップデート(個別のサブスクリプションは必要ありません)または
  • 商用(有償)アップデート(そのため、別途サブスクリプションが必要です) 

以下の表は、最も一般的なリリースの最終的な公開アップデートの概要と、関連する影響を示しています。

リリース リリース日 最終的な公開アップデート 契約 プレミアサポート サポートの延長期間 関連概要
4 2002年2月 1.4.2u19 BCL
OMA
2008年10月 2013年2月 1.4.2 update 29以降のアップデートは、OMAに準拠する商用サポート/サブスクリプション契約が必要です(他のアプリケーションプロバイダーを通してライセンスを取得しておらず、開発目的でもない場合)。
5 2004年9月 5u22 BCL
OMA
2009年11月 2015年4月 22以降のアップデートは、OMAに準拠した商用サポート/サブスクリプション契約が必要です(他のアプリケーションプロバイダーを通してライセンスを取得しておらず、開発目的でない場合)。
6 2006月12月 6u45 BCL
OMA
2013年4月 2018年12月 45以降のアップデートは、OMAに準拠した商用サポート/サブスクリプション契約が必要です(他のアプリケーションプロバイダーを通してライセンスを取得しておらず、開発目的でもない場合)。
7
(LTS)
2011年7月 7u80 BCL
OMA
2019年7月 2022年7月 80以降のアップデートは、OMAに準拠した商用サポート/サブスクリプション契約が必要です(他のアプリケーションプロバイダを通じてライセンスを取得しておらず、開発目的でもない場合)。
8
(LTS)
2014年3月 8u202 BCL & OTN
OMA
2022年3月 2030年3月 202以降のアップデートには、OMAに準拠した商用サポート/サブスクリプション契約が必要です(他のアプリケーションプロバイダーを通じてライセンスを取得しておらず、開発目的でない場合)。
9 2017年9月 9.0.1 BCL 2018年3月 N/A 一般的なコンピュータで使用する場合は無料
10 2018年3月 10.0.2 BCL 2018年9月 N/A 一般的なコンピュータで使用する場合は無料
11
(LTS)
2018年9月 TBD OTN 2023年9月 2026年9月 本番環境での使用は有償サポート、最新の一般向けアップデートは今後公開予定
12 2019年3月 TBD OTN 2019年9月 N/A 本番環境での使用の有償サポート
13 2019年9月 TBD OTN 2020年3月 N/A 本番環境での使用の有償サポート
14 2020年3月 TBD OTN 2020年9月 N/A 本番環境での使用の有償サポート
15 2020年9月 TBD OTN 2021年3月 N/A 本番環境での使用の有償サポート
16 2021年3月 TBD OTN 2021年9月 N/A 本番環境での使用の有償サポート
17
(LTS)
2021年9月 TBD NFTC & OTN
OMA
2026年9月 2029年9月 本番環境での使用は無料、最終無料アップデートは2024年9月に提供予定
18 2022年3月 TBD NFTC & OTN 2022年9月 N/A 本番環境での使用は無料
19 2022年9月 TBD OMA 2023年3月 N/A 本番環境での使用は無料
20 2023年3月 TBD NFTC & OTN 2023年9月 N/A 本番環境での使用は無料
21 (LTS) 2023年9月 TBD NFTC & OTN
OMA
2028年9月 2031年9月 本番環境での使用は無料、最終無償アップデートは2026年9月に提供予定

BCLについて詳しく見る(英語)

LTSについて詳しく見る(英語)

NFTCについて詳しく見る(英語)

OMAについて詳しく見る(英語)

OTNについて詳しく見る(英語)

Oracle Java Release 17 では、Oracle Java SE プログラムは、いわゆる NFTC (No Fee Terms and Conditions) 契約のもとで 提供されています。つまり、Oracle Java Release 17 を導入して使用する場合、商用エンドユーザーは無料で使用することができます。

しかし、「移行するか、お金を払って継続するか」というアプローチに従って、最後となるJava Release 17の無償商用アップデートは2024年9月に提供される予定です。これ以降もJava Release 17のセキュリティパッチやアップデートを利用したい場合は、Oracle社からサブスクリプション契約を結ぶ必要がります。Oracle Java Release 17の有償サポートは2029年まで提供される予定です。このコストを回避したい場合は、2023年9月に提供されるJava Release 21へ、2024年9月以前に移行する必要があります。

これを踏まえて、従業員ベースのライセンスモデルを回避するための代替オプションをみてみましょう。

  • Oracle Java Release 17にアップグレードし、2年ごとのリリースサイクルを遵守し、Oracle社の無償利用規約を引き続き活用する。すべてのJava 展開をJava Release 21へアップグレードする場合は、2024年9月までに実施する必要がある。
  • 特定のOracle Javaリリースの最新の公式アップデートを使用し続ける。
  • OracleのJava ビルドのオープンソース代替品としてOpenJDKに移行する(Azul Systemsのような他のメーカーからのサードパーティ サポート契約の有無は問わない)。
  • オンプレミス、AmazonまたはAzureのクラウド展開をOracle Cloud Infrastructureに移行する(Oracle社のCloud顧客は、Oracleパブリッククラウド内のインスタンスに対して無料のOracle Java SEライセンスを取得できるため)。

現在使用しているOracle Verified Tool for Oracle Java SEは、有用か?

Oracle社は最近、Java SE用のサードパーティ製SAMツール(Flexera、Lime Software、Metrix 42、USUなど)を多数検証しました。 これらのツールは、Oracle社が公式監査の際に行うような、Oracle Javaプログラムのインストールおよび使用データの収集を可能にするものです。これらのツールから収集されたインストールと使用のデータは、実際のライセンス要件を評価するために使用される場合があります。しかしそれでもSAM ツールのデータでは、特定のライセンス可能な Oracle Java インストールが、ライセンス可能な Oracle Java インストールを使用するアプリケーションを提供したアプリケーションプロバイダを通じて既にライセンスされているかどうかを検証することまではできないでしょう。

エンドユーザーが検証済みツールを使用することで、Oracle のデータ収集は非常に容易になりますが、ライセンス可能なOracle Java SEがアプリケーション プロバイダを通じて既にライセンスされていることを証明する義務は引き続き発生します。Oracle社は、Oracle Java SEの商用アップデートを提供する権利を持つアプリケーション プロバイダのリストを持っていますが、これらの契約は機密保持契約に拘束されるため、このリストをお客様と共有することはありません。

SoftwareOneが支援いたします

この度のOracle Java のライセンスモデル変更は複雑な分野であり、大きな財務的リスクを伴う可能性があります。

SoftwareOne Java アドバイザリサービスは、以下のような洞察を提供することで、お客様をサポートいたします。

  • 組織内で実際に個別にライセンス可能な Oracle Java SE のインストール状況
  • 関連するアップデートと、それらが個別にライセンス可能かどうか(多くのアプリケーション プロバイダは、独自の契約を通じて Oracle Java SE を使用する権利を付与しており、個別のサブスクリプションは必要ないため)。
  • 見つかった Oracle Java SE のライセンス可能なインストールに適用される、関連する脆弱性

これらの情報をもとに、お客様がリスクを軽減し、コストを最小化するための戦略を見出すお手伝いをします。当社にお気軽にお問い合わせください。

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