4.3 詳しく見るPublisher Advisory Services

IBM IASPについて知っておくべきこと

A man in a suit and tie smiling for the camera.
David TidwellIBM Advisory Lead NORAM
Publisher advisory

IASP(IBM Authorized SAM ⦅Software Asset Management⦆ Program)は、IBMパートナーが支援する自己申告プログラムです。ただし、プログラムの詳細やどのように報告を行うかは、IBMによって非常に厳密に定義されています。このプログラムでは、お客様は、IBMが承認したごく少数のパートナー(Anglepoint、KPMG、EY、Deloitte)のうち、お客様と契約を行った1社がIASPサービス プロバイダーとなります。IBMは、お客様がこのプログラムに積極的に参加し続ければ、IBMの監査が行われないというメリットを謳っています。IBMによると、IASPの意図は、お客様がソフトウェアを正しく使用しているかを実証するための代替手段を提供することです。しかし、より柔軟なソフトウェア ライフサイクル管理(SLM ) プログラムをお客様が選択した場合と比較すると、IASPを契約したい商業上の動機はないといってよいでしょう。

時とともに進化し、今もなお生き残りをかけた戦いが続く

IBM は、過去にライセンス管理オプションで同様の戦略を試みたことがあります。このかつてのプログラムも、現在のIASPも、どちらもエンタープライズレベルの契約を結んでいるIBMの最大手のお客様のみが利用可能であったため、幅広いお客様の獲得には至りませんでした。そして2019年、IASPは、IASPパートナーによるマーケティング上の要求により、「より友好的で、非懲罰的なコンプライアンスへのアプローチ」と新たに位置づけられました。

2020年後半からAnglepoint社は、ILMTを必要とせずにFlexeraに加えてAspera、ServiceNow、Snowなどのサブキャパシティレポート用の追加ツールを使用できるようにすることで、IASPに関するメリットを付加することができるとの発表を行いました。Flexeraは以前から特別な追加契約を結ぶことでILMTの代替手段とすることが可能でしたが、これらの追加ツールの使用にも同様の特別契約が必要になると考えられます。興味深いことに、これらの「秘密」の契約はいずれも公開されていません。さらに、IBMはこれらの契約を「極秘」としています。いったいIBMは何を隠しているのでしょうか?

お客様の関心を高めるためだけに行われたこのプログラムの更新が、どのような影響を与えるかはまだわかりません。ただ今のところ、IASPはその存在自体に苦労し続けています。そのため、「IASP」の宣伝はかえってマイナスに働いているようです。

メリットとデメリット

IBM とその IASP プロバイダーは、このプログラムの良い面だけを宣伝していますが、このプログラムの利点は、IBM 寄りのものです。お客様ソフトウェア ライフサイクル管理についてよくご存じのお客様にとっては、これは必ずしもメリットではありません。それぞれの「メリット」とされるものは非常に長い「ひも」がついているか、あるいは単に主張されているほどのメリットがないかのどちらかです。

メリットについての詳細

  • IBMの主張:IASP参加中は、監査が行われない
  • 現実:IASPは監査を排除するものではないことに注意してください。
  • IBMの主張:過去のILMTのステータスに関わらず、フルキャパシティ料金のかからないサブキャパシティライセンスが利用可能
  • 現実:フルキャパシティ料金を請求されてしまうことはIASPおよび品質の高いプロバイダーの正式なSLMプログラムのどちらであっても一般的にはあり得ません。その理由は、どちらもすべての新規導入は90日の契約期間内に発見され、解決されるからです。
  • IBMの主張:監査費用、さかのぼってのS&S費用の請求、懲罰的請求なし
  • 現実:まず、IBMは監査費用を請求しません。さらに、さかのぼっての S&S費用の請求は、ある製品の数量がコンプライアンスから外れていた期間のみに適用されます。90日以内に問題が発見され、次の90日の期間中にさらに解決された場合は、遡及してS&Sを徴収することはありません。
  • IBMの主張:IBMのライセンス知識に関する業界をリードする専門家が対応
  • 現実:それは当然のことです。しかし、他の質の高いSLMプログラムでも同様に、IBMに偏ることなく、この同じメリットを得ることができます。

デメリットについての詳細

  • IASPは永続的な監査です。
  • IBMの条件で厳密に定義されており、お客様にはIASPを柔軟に利用する手段はありません。
  • 監査費用をお客様に転嫁することで、事実上IBM側にお金が入ることになります。
  • IASPのパートナーはすべてIBMの監査人であり、お客様はこれらの監査人がお客様のレビューや承認なしにIBMに詳細を提供することに同意しなければなりません。これは大きな利害の対立です。

すべてのお客様向けではないIASP

IASPプログラムは、すべてのお客様が利用できるわけではなく、選ばれた少数のお客様への招待のみに基づいています。対象となるのは、主に大規模でダイナミックに変化する複雑な組織で、より大きなビジネスポートフォリオの一部として複数のサイトやサブ エンティティを持つお客様です。これらのお客様は、複雑な環境をお持ちで、IBMの将来の成長戦略の鍵となる、ハイブリッドクラウド、クラウド、アプリケーション モダナイゼーション、デジタル トランスフォーメーションに関するソリューションをより多く販売できる可能性を秘めているためです。

市場での混乱

また、IBMは最近、コンテナ環境内でのIBM製品の使用状況を測定するためのライセンスサービスという別の無料ツールを発表しました。コンテナ環境でサブキャパシティ ライセンスの適用を受けるためには、コンテナにソフトウェアを導入してから90日以内に、この新しいライセンス サービスをインストールすることが必須となりました。コンテナと仮想マシンの両方を備えたハイブリッド環境やクラウド環境の全体像を把握するために、ILMTとライセンス サービスの両方をIBM Cloud Pak for Multicloudと容易に統合することができます。現時点ではこの機能は他のツールでは利用できません。

SoftwareOneが提供するIBMマネージドサービス

IBM SLM - 信頼できるアドバイザーとしてSoftwareOneを活用することから始めてみませんか。IBMが定めた条件ではなく、業界のベストプラクティスを用いてお客様のソフトウェアライフサイクル管理プログラムをご支援します。

SoftwareOne FinOpsソリューション - FinOps認証を取得したPyraCloudプラットフォームにより、IBMソフトウェアとクラウドへの支払いをインテリジェントに把握し、コントロールすることができます。

Cloud Pakとライセンスサービスの導入 - Cloud Pakとライセンスサービスの導入に関する当社の技術力を活用して、ハイブリッドクラウドとコンテナ間の重要なワークロード管理に関する課題を克服します。

クラウド ロードマップとライセンス移行アセスメントは、従来のライセンスモデルを分析し、支出を最適化し、ライセンス更新を活用し、IBMの新しいオファリングの一部として現在利用可能な最大限の割引を利用しながら、クラウドと同等の新しいライセンスモデルに移行するための最適なソリューションです。

A yellow wall with a blue sky.

IBM ソフトウェア資産を管理する

業界のベストプラクティスを使用して、SLM プログラムを開発および成長させます。

IBM ソフトウェア資産を管理する

業界のベストプラクティスを使用して、SLM プログラムを開発および成長させます。

Author

A man in a suit and tie smiling for the camera.

David Tidwell
IBM Advisory Lead NORAM

Publisher Advisory